2015年夏、初めて開催された猪苗代湖湖畔のフェス『オハラ☆ブレイク』。
ペテカンも参加した2日間を羽柴真希がレポート!

~ペテカンのその夏は、渋谷のとあるバーで始まった~

2015年2月某日。

ペテカン20周年記念公演第一弾である『蛍の頃』も終わり、ホッと一息付けるか付けないかの頃。
表参道のとあるカフェに、S氏との打合せの為、羽柴はいた。
ペテカンにとって、全く未知で新しくって「すげーかっこいいじゃん。」なんてにんまりする様な、そんなオファーを頂けるとは、つゆ知らず・・・。
S氏とは、その前年の年末、渋谷のとあるバーで偶然出会った。

よく、覚えていない。
「猪苗代湖の湖畔で、結構ビックなフェスティバルを計画していて、こんな有名なミュージシャンや、アーティストさん達に交じって、ペテカンも何かやりませんか?・・・だってよ」
興奮している私のペテカンへの報告は、だいたいこんな感じだったと思う。

何故、ペテカンがこういったフェスティバルに出れるの?出たの?何系列での話なの?など、不思議がいっぱいであったと思われる。
渋谷→蛍の頃→オハラ☆ブレイク。
S氏が『蛍の頃』に足を運んで下さった。そして、シンパシーが働いた。
それは、運命としか言いようのない出会いだけで繋がった、新しい夏への切符だった。

~ペテカン初の野外ステージ~

2015年8月8日
「ペテカン×竹原ピストル」

対バン形式での、ピストルさんとの共演。
今時の言葉で言うなら、リスペクトしている方との共演。

照明の全く効かない、生声も通らない、仕掛けもできない。
そんな、普通の演劇にとってはかなりアウェーな環境でも、ペテカンにとっては最高の遊び場である。
そんな、アウェーな空間を調理するのが本田は得意である。
この日は、男性陣4人で『屋上よにんぼっち』を上演。

東京でも、コントの時には度々やっている、鉄板ネタである。

男気には、男気で勝負を!!
というわけではなく(笑)、なんだか、話し合いを重ねていく中で、この日は男性陣4人での作品になった。
見て下さい!!
この澄んだ空気、さわやかな木々達、このパネルの向こうには、猪苗代湖が広がって・・・。
こんな中でコントが出来る男性陣は、ほんとに贅沢だな、クソっ。
と、スタッフをしながら思っていたのは、私だけでは無いはずである。

自殺をしようと屋上にやってきたら、先客が。「・・・自殺ですよね?」お互いの事情を話す中、意気投合(笑)。とはいえ・・・。再度飛び降りようとしたその瞬間、もう一人の、いや、もう二人、自殺をしようとする男と、止めに来た男が、飛び込んできた。そして、そこからのてんやんや、四人で飲みに行くまでのロングコント。
最初、大治が一人で登場する。
この大舞台に、たった一人で登場。めっちゃ緊張するとは思うけど、めっちゃ気持ちいいハズだ。
その快感を思いっきり堪能している様な顔の大治が、大治のドヤ顔が、いや、にやけた顔?が、癇に障る(笑)
その顔が、一人、また一人と、増えてくる。
途中、やまびこを投げかけるシーンがある。「やっほー」「やっほー」
返ってきた!!しかも、子供の声!!とっても新鮮で、嬉しい!!
舞台の上の男性陣の顔も、ほころんでいる。暑さも、逆光も、何もかも吹っ飛ぶ。
男性陣のテンションも、どんどん上がっていく。ボルテージは最高潮(笑)
芝居が終わり、ハケてきた4人の顔は、東京では見る事が出来ないであろう、爽やかな汗をかいた、そりゃあビールが似合いそうな爽快な顔をしていた。

そして、コントは終わり、いよいよ、ピストルさんの出番。

もう、そのかっこ良さは、言わずもがな。
ってわけにもいかないので、ピストルさんのライブ解説は後ほど本田から・・・。

このコントの中で、福島出身の設定(実際そうなのだが)の齋田が言うセリフに
「何度でも立ち上がろう」
という言葉があった。
この言葉をあえて本田は、齋田に振った。それは彼にしか、地元の彼にしか、言えないセリフだと思った。
今までペテカンは、本田の故郷の宮崎への凱旋公演は何度かあったが、今回は、齋田の地元への凱旋公演でもあったのだ。(この期間中、齋田は一回、実家に帰ったくらいだ(笑))

そんなこんなで、一日目は終了。
猪苗代湖の自然に心身ともに癒された一日だったが、それと同時に、このオハラ☆ブレイクの壮大さに少しビビった。
ミュージシャンなら、それこそ、この壮大な自然を味方にライブをするなど、お茶の子さいさいなのだろうが、ゆうてもペテカンは、演劇畑。普段は「小屋」という、窓すらない空間でしかやらない、結構、守られてるんだな(笑)。




けど・・・。

この、裸にされてしまった様な感じ、結構みんないい歳なのに「初めて」で一生懸命遊ぼうとする感じ、でもやっぱりソワソワはしちゃう感じ、
そういうのを全部ひっくるめて、ここにいられる事に感謝をした。

~ピストルさんのライブ(文・本田誠人)~

VS竹原ピストル戦に向けて用意した、いや編み出した新ネタという名の必殺技『屋上よにんぼっち』を終えた頃、入れ替わりで登場するピストルさんに合わせるように、猪苗代湖におひさまが沈んで行く。
夕陽をバックに歌うのがこんなに似合うのは加山雄三さんか竹原ピストルさんだと本気で思わせるそのたたずまい。

「夕焼け空と想い出は重なり合うと涙になってしまうから 記憶喪失にでもなってしまおうと 額にそっと夏みかんをぶつけてみた」

ピストルさんが以前組んでいた野狐禅の『夏みかん』の一節が頭に浮かぶ。野狐禅の頃から聴いていたピストルくんの歌世界に畑は違えど、オイラはいつも嫉妬していた。の嫉妬の主が今回、対戦相手なのだ。
とにかくまぁ、その対戦相手は僕らからのバトンパスを受け、立っていた、猪苗代野外音楽堂に。

石川五右衛門が刀一本で勝負するが如く、いつも通りアコギ一本かきならし、そして優しさと哀しみが共存する圧倒的なあの歌声での『ちぇっく!』こういうフェスの場でこの曲を歌うその遊び心がたまらない。『俺のアディダス~人としての志し~』の中で歌われている

「けれどそれは、だからこそなんだ 忘れるわけがない、だからこそなんだ」

の歌詞に勝手にペテカンの「何度でも立ち上がろう」のセリフを重ねてしまう自分がいる。そして個人的に特筆したいのは終盤に歌った『わたしのしごと』だ。

「わたしのしごと
シャボン玉を割る為に
わざわざアイスピックをつかうこと
わたしのしごと」

どこかに矛盾を感じながらも、生きるために向き合い、日々を過ごすこと。やり過ごすのでは無い。日々を過ごすことが出来るというそのありがたみ。
竹原ピストルさんが、アコギ片手にマイクに向かって歌うように、僕らもそうなんだ。
衣装を着て、役になって、物語の中で役者として生きる・・・それしか出来ないんだ。いや、それが素晴らしいことなんだ。短い時間の中で、たくさんのパンチを浴びた気分になる。(特にボディーにね)そうなんだ、竹原さんのライブはいつも何かに気付かされるのだ、思い出してしまうのだ、しかも痛さに伴いながらもそれがどうにもこうにも心地よいのだ。

最後の曲を竹原ピストルさんが歌い終え、観客に頭を下げたその向こうで、同じくこの日の出番を夕陽も終えようとしていた。また竹原ピストルさんと対バンしたい、また猪苗代湖にペテカンとして戻って来たい、そう思った。

~ペテカンのコント~

2015年8月9日

早朝の送迎バスに乗って、ホテルから会場へ。
2日目の今日は、いよいよ女性陣も出番。
ペテカンのコント『諸々そこんところ』の1と2から、選りすぐったコントを、野外劇場で披露する。
贅沢だ。なんとも贅沢な時間だ。この上なく、贅沢だ。
コントこそ、音響と照明と衣装と協力の元、創り上げる事も多いのだが、何せ、午前11時開演。
照明は効かない。勿論、舞台袖も野外。大掛かりな衣装チェンジは出来ない。
けれど、そこはやっぱり、ペテカン(笑)
使い勝手の良いネタも豊富だこと!!

そらいろ劇場。まずは、リハーサル。
前日、会場は下見していたので、なんとなく心構えは出来てはいたが、やっぱり、スケルトン(笑)
でも、この丸太の感じ、赤いオブジェ。どことなく、ペテカンっぽい。なんて思ってしまう。
全てのリハーサルが終わり、いよいよ開演。
本日のセットリスト→バンド/時報/飛び降り/ポエム/ビフォーアフター/水着
なんのこっちゃ。ですよね。写真と共に、順を追って、ご説明を・・・。

①バンド

男性陣4人のバンドマンのコント。
『諸々~』の1と2、どちらでもやったネタ。回を重ねるごとに、成長していくネタだ。
ペテカンの女性陣が大好きなネタである。
今回、いつもと違うところは、楽器が全部本物である、ということ、演奏しようと思えば、演奏出来る状態にして下さっていること、だ。
こうやって見てみても、エセっぽさがたまらなく愉快だ。
実際に、ミュージシャンの出演者の方々もここでライブをする。
本人達・・・。絶対に、気持ちいいハズだ・・・。

②時報

男性陣だけ、と来たら、今度は女性陣で!!
こちらも、お馴染み鉄板の「時報」。
『諸々~1』で派生して、登場人物の人数などによって色々とバージョンを作っているネタ。

今回は、谷部聖子の代わりに、上司の本田が出演。またまた新しいバージョンの「時報」の完成。
男性陣の「バンド」が鉄板なら、こちらは女子の鉄板。
オフレコですけど、このネタの台本って、<10時10分10秒をお知らせします 10時10分20秒をお知らせします>と、延々に5分間分、書いてあるだけである(笑)
そこに個人個人、自分にしかわからない暗号の様に、自分の動きを書き込んでいる。

このネタも進化系なので、また今後もやっていきたいと思うネタである。

③飛び降り(『屋上よにんぼっち』)

こちらは、前日やったネタのショートバージョン。

またまた男性陣4人。男性陣は、鉄板ネタが2つもあっていいなぁ。
前出のバンドネタは、大掛かりなセットが必要だが、こちらのネタは、身体一つで出来る、非常にお手軽なネタだ(笑)。

見て下さい、この広大な客席・・・!!人間が、虫みたいだぜ。

④ポエム

ここで、お客様イジりターイム!!羽柴真希&四條久美子コンビでお送りする、即興ポエム大会!!
お客様より、お題を頂きます。皆さん、手を挙げて下さるかな・・・?

おごそかな曲に乗せて、読んでしまいます。今宵もポエム。
あなたのために、わたしのために、いいえ、あなたのために・・・。
さぁ、記憶の糸をたどりましょう・・・。
お題は、確か・・・。
そう!!「オハラショースケ」と「セミ」
「Oh!!Mr.HARA!! Nice to meet you!!」
「背中に虫が付いてるよ」
そんな始まりだった気がするよ。ねぇ、ハックルベリーフィン?
お題を下さったお二人の方、本当にありがとうございました!!



④ビフォーアフター


音ネタ。『諸々~2』でやったネタです。某番組の(笑)パロディー。
当初は、羽柴と大治でしたが、オハラバージョンは、長峰と大治夫婦バージョン。

これ、なんと、読み手は、あの、ペテカンシニア部1期生の、田中真弓女史である。
もの凄く、贅沢なネタ。

⑤真希水着

これも、『諸々~2』からのネタ。
四條の「真希ちゃんが水着になったら面白い」という一言から生まれたネタである。
まさか、もう一度水着になるとは、思ってもいなかった・・・。
「人前で水着になって、あげくにおっぱい触られる」
私にとっては、そんなネタである。
ただ、エンディングには、とっても良いネタ。というのは、拭えない・・・。
全員で出演出来るネタだ。


そして、ネタは全て終わり、カーテンコール。
けど、その前に、ペテカンを代表して、本田がエンディングトークを少しだけ。

ご覧下さった皆様への感謝と、この素晴らしい猪苗代湖の自然に、そして、この『オハラ☆ブレイク』という、素晴らしいイベントに、熱い思いを。

以上、羽柴の「オハラ☆ブレイク」レポートでした。
長々お付き合い頂き、ありがとうございました。

※写真提供:三浦麻旅子、オハラ☆ブレイク、ペテカン